日向のかおり〜日向国(ひゅうがのくに)宮崎県日向(ひゅうが)市から、宮崎県のクスノキのみで作る(水蒸気蒸留法)天然樟脳・宮崎県産材製品をお届けします〜

樟脳雑話 ー しょうのうのお話

2010年は大河ドラマ「龍馬伝」のエピソード中に樟脳が登場したり、近年まれに見るほど「樟脳(カンファー)」が広く聞かれるようになった年でした。といっても、多くの、特に若い方の間で「樟脳」という言葉自体知られていないのは事実。さらにご存じでも明らかに他の防虫剤のことを差して樟脳と思われているケースが大半です。

天然樟脳

実は樟脳には知られざる歴史や蘊蓄がたくさんあります。こちらでは、スタッフも日々発見と驚きを感じているそんな樟脳のお話しをメモしていきます。まずは走り書きのようなものからちょっとずつ内容をちゃんとしてまいります!

樟脳に関する多くの知識は「クスノキと樟脳(服部 昭著 牧歌舎)」という2007年に出版された本などを参考にさせていただいてます。樟脳に関する情報が非常にわずかだったころに、この本を出会ったときにはその詳細なデータや歴史的事実などに本当に驚きました。樟脳に興味を持たれた方にはぜひともおすすめしたいです。

*更に2009年に「楠(矢野誠一・矢野高陽 著)」という本が出てこちらに樟脳はもちろん、クスノキにまつわるあらゆる情報が網羅されてます。樟への深い愛情を感じる「クスノキと日本人(佐藤洋一郎)」と併読がおすすめ!ファン(?)必読の書!(本棚にまとめまています»

このコーナーは、浅く広くをモットーに興味の入り口となる「へえ」な軽いお話を集めます。また、メモもかねているため当面読みにくいかも知れません。ご容赦下さい。

そもそも樟脳ってなに?

真っ白いけど合成とかしてません。いわばクスノキに含まれる成分をとりだしただけ。

樟脳(しょうのう)は太古の昔から世界中で利用されてきたクスノキに含まれる成分です。「」の字は訓読みで「クス」または「クスノキ」。「」の字はものの中心と言った意味があり、つまり樟脳とは元々クスノキの成分、結晶を意味するものです。

樟脳には天然品と化学合成品があります

クスノキのチップ。

元々クスノキからつくる方法(天然樟脳)しかありませんでしたが、1920年代に松脂由来のテレピン油から化学合成して同様の分子式のものをつくる化学合成法が主流になりました。天然樟脳はd体(d-カンフル)、化学合成品はdl体(dl-カンフル)というそうです。

天然樟脳はどうやってつくるの?

日向の冷却槽。フタの上に地下水が手水のように垂れて、ゆっくり下の水蒸気を冷やします。

天然樟脳はクスノキに含まれる成分ですので、これを取り出し結晶化するだけ。

大ざっぱに言うとクスノキのチップを水蒸気で蒸して、樟脳成分を含んだ水蒸気を集め(水蒸気蒸留法)、冷やすと水分油分を含んだ結晶ができます。これを脱水・脱油を繰り返し乾燥されればできあがり。仕組みとしてはとてもシンプルで簡単ですが、つくるのは時間も労力もかかる、大変な作業です。日向しょうのうの作り方はこちら»

樟脳ってなんに使うの?

特に天然素材は虫の大好物!

一般に知られているのは衣類の防虫剤です。衣類を食べる虫を寄せ付けない忌避効果があります。他にも様々な用途がありますが、それは後ほど。

衣類の防虫剤って?

衣類の防虫剤は大きく4つに分類されます

  • ナフタリン
  • パラジクロロベンゼン
  • ピレスロイド系
  • 樟脳(合成品と天然品)

それぞれの成分や特徴については、ここではふれませんがぜひ調べてみて下さい。この内、ピレスロイド系の防虫剤以外は強い臭いがあり、残念ながら「樟脳」というと多くの方が臭いの強い防虫剤全般のことと思われているようです。樟脳はナフタリンなどではありません。

衣類を食べる虫って?

ウールやカシミア、毛皮など高級天然素材大好きのグルメ。

イガやコイガ(衣蛾と書くそうです)などの蛾の幼虫が一つ。これは衣類に卵を産みつけ、孵化した幼虫が中から衣類を食べてしまうというもの。

もう一つはヒメマルカツオブシムシなどの甲虫。これは直接、成虫が食害します。丸くきれいにかじるのが特徴だそうで、毛皮でも何でも食べるなかなか手強い相手のようです。

「樟脳」は市場に極めて少ない

多くの方が、臭いがいつまでも残るタンスのあの臭いと思われている「樟脳」ですが、合成品も含め、樟脳の流通自体、極めて少ないです。天然品となると日本で生産しているのは福岡の老舗 内野樟脳とこちら、宮崎県日向市の2箇所だけ。宅配系生協など中心にごく限られた場所でしか販売されていません。

衣替えの時期になるとインターネット上でも、多くの方が街中や電車で「つーんとくる嫌な臭い」として樟脳の話しをされるのを目にしますが、そんな流通自体が相当少ない樟脳ですから、ナフタリンなどと勘違いされているケースがほとんどのようです。

樟脳は天然原料だから無毒?ではありません

原料がクスノキだけの天然樟脳も天然品だからって無毒ではありません。間違って食べてしまうと胃の中で吸収され続け、大変危険なものです。しかし、樟脳は太古の昔より医薬品として服用もされてきたものです。たとえば、のどあめやうがい薬、歯磨きや湿布や軟膏など幅広い用途で使用されています。他の医薬品同様、用量・用法を守ることが大事です。

日本の歴史にも何度も登場した樟脳

日本での樟脳製造の歴史は古く、16世紀半ば、織田信長の時代には輸出がはじまっています。その後土佐や日向でも盛んに製造され、江戸時代には金銀、生糸 と並び重要な輸出品となりました。明治期の台湾統治時代には多くの樟脳製造工場が台湾につくられ、日本は世界一の樟脳生産国だったこともあります。この時期から塩やたばこ、お酒とならんで専売品となりました。その後セルロイドの原料として再び樟脳の需要が高まりました が、合成法の確立により、昭和37年専売制廃止、ついで石油化学由来のプラスチックや薬品の台頭で高度経済成長期には合成品も含め生産が激減しました。現在、国内製造は合成品もごくわずか、天然樟脳は製造が二箇所だけの絶滅寸前の産業です。

意外なところで見られる樟脳

樟脳は意外なものの原料となっています。

  • セルロイド
  • 中国の有名なバーム
  • 火薬や花火
  • シップなどの外用薬品

・・・など。このあたりも改めて調べていきます。セルロイドは樟脳と同じく、絶滅寸前ですが、葛飾区の町工場が国内製造にチャレンジしているようです。

香りと呼びたい天然樟脳の「におい」の話

これは味覚と同じく個人の感じ方次第ですが、合成樟脳と天然樟脳では明らかに「におい」が違います。天然樟脳も刺激が強いものの、ハーブ系の、たとえばメンソールとかユーカリとかのさわやかなにおいで「香り」と呼ぶのがふさわしいと思います。ツンとするけど鼻がとおるスーッとした感じ。さらに揮発性が高いので衣装ケースから出したときは樟脳の香りがしっかりしますが、出して空気にさらせば、特に天日にさらせばかなり早く香りが無くなります

ちなみに当店の名前「日向のかおり」は、はじめて天然樟脳を嗅いだスタッフがこれはにおいじゃなくて香りだと言ったことから、多くの方にこのことを知っていただきたいという想いも込められています。

どんな香りがするの?

香りを言葉で伝えるのは大変難しいですが、多くの方に嗅いでいただいた感想をことばにすると、こんな感じです。

  • さわやか、木の香り(木に慣れ親しんだ方は特に)
  • 懐かしい、なんだっけこの臭い?→で、タ○ガーバームだ!メンソ○ータムだ!龍○散だ!湿布だ!ホー○ズだ!のど飴だ!など。はじめてでは無いと言う方が多いです。
  • ん?樟脳ってこんなだっけ?→ナフタリンと混同されている場合
  • 警戒して嗅いで→嫌な臭いじゃない。むしろ好きかも(特に男性)
  • すごく良い香り→中にはこの香りがすごく好きという方もいらっしゃいます

もちろん中には眉をひそめる方もいらっしゃいますが、これまで嗅いでいただいた反応からするとおおむね、意外性があり、嫌な臭いではないと思われるようです。

樟脳 = カンファー = カンフル

樟脳を外国表記でカンファー camphor。原料であるクスノキはcamphor treeと言います。起死回生を意味する「カンフル剤」という例えにその名を残しているのでご存じではないでしょうか。

アロマテラピーやアーユルヴェーダにも登場する「カンファー」

樟脳精製時に採れる油分「樟脳油」。結晶を樟脳精とも言うようです。樟脳油にはホワイト、アンバー、ブルーの三種類のカンファーが含まれ、このうちホワイトは精製するとホワイトカンファーというエッセンシャルオイルとなり、アロマオイルとしても利用されます。クスノキ以外でもホワイトカンファーを採取できる植物があります。このように樟脳というと馴染みが薄くても「カンファー」はアロマテラピーの他、アーユルヴェーダにもしばしば登場します。

合成樟脳 = dlカンフルは今も色々と使われています

合成樟脳 dl-カンフル は虫さされや湿布にきび治療薬などさまざまな外用医薬品に含まれています。その主な働きは「冷感刺激作用」。つまり、冷たいと感じさせる効果だそうです。確かに樟脳ではなくdl-カンフルで検索すると良く聞いたことのある医薬品が沢山でてきますね。

昔の使われ方

これは聞いた話ですが、特に樟脳の生産が多かった九州地方ではこんな使い方もされていたそうです。

  • 山仕事を終えた後に地下足袋に樟脳油をかけておく
  • 家を建てるとき土台となる木に樟脳油を塗り込む
  • 特に夏場、お風呂に樟脳油を垂らす  ・・・など

民間療法的なものかもしれませんが殺菌・防虫・防腐の役割を期待していたことが伺えます。

 

・・・とまだまだありますが、コツコツアップしていきます。

参考

クスノキと樟脳 藤澤樟脳の100年 服部 昭著
日常生活の有害物質がわかる本 暮らしの安全白書 など書籍(本棚»
他、インターネット上の情報

情報に誤りがあったり、他にも情報がございましたらご連絡下さいませ。

お名前
メールアドレス *
メッセージ *
コードを入力してください。:

注意: * は必須項目です

日向のかおり〜宮崎県日向市から天然樟脳をはじめとしたいいものをお届け〜
日向の恵みと元気をみなさまにお届けします
日向国(ひゅうがのくに)宮崎県から県産クスノキのみで作る天然樟脳や県産材木工製品をご紹介・販売しています。天然樟脳の生産者フジヤマスライサーが運営するオンラインショップです。