プロダクトストーリー

歩み・経緯「日向しょうのう」
その着想は2006年から
2006年、宮崎県日向市の全国森林連合組合の中で、未来の林業について検討をする中からアイデアが広がっていきました。
当時、国内で唯一樟脳の生産をしていたのが福岡県の内野樟脳さんでした。内野樟脳さんに何度も通わせていただいて、作り方を教えてもらったのです。教わったことを日向に帰って試してみて、それらしいものが出来たら、また福岡へと出かけてアドバイスをもらってまた試す。本当に試行錯誤の繰り返しでした。
日向独自の製品として完成したのが2007年。たくさんの方々にお力添えを頂いた末に、「日向しょうのう」が誕生しました。

今年で「日向しょうのう」の生産をはじめて14年
今年で「日向しょうのう」の生産をはじめて14年を数えるまでになりました。2015年8月には「日向しょうのう」は経済産業省補助事業「The Wonder 500」に採択されました。(The Wonder 500は、日本が誇るべきすぐれた地方産品を発掘し、世界に広く伝えていく地方発クールジャパンプロジェクトです。)
2016年、さらにクスノキ製品を全国に広げていきたいという想いで、株式会社えこのはを設立。天然樟脳をはじめ、クスノキのオイルやウッドチップ、芳香蒸留水など、クスノキの恵みを存分に活かした製品を取り扱っています。
製品は、障がい者施設や高齢者に委託して製造をしてもらっています。売上の一部を還元させていただくことで地域に少しでも貢献していきたいと考えています。(社会的弱者支援:詳細ページはこちら)
宮崎県産材のクスノキ製品
弊社のクスノキ製品は、すべて宮崎県産のものを用いています。雄大な大地に育まれ緑豊かな宮崎のクスノキは、「天然樟脳」をはじめ「樟脳油」「芳香蒸留水(ハーバルウォーター)」そしてウッドチップとさまざまな恵みをもたらしてくれます。
樟(クスノキ)ってどんな木?

学名・分布など
Cinnamomum camphora
クスノキ科クスノキ属
本州中南部から四国、九州、沖縄、済州島、台湾、中国南部、インドシナに分布。ツヤのある葉をつける大きく育つ常緑高木です。

クスノキの語源
その語源は葉や煙が防虫剤や鎮痛剤として用いられたことによる「薬の木」とする説や独特な芳香を持つために「臭し(くすし)木」となったとする説もあります。

クスノキ(樟)が持つ防虫効果
クスノキには、ツンとする香りがあります。それはクスノキを精製して抽出する「樟脳」独特の香りで、防虫剤や医薬品にも使用されています。虫やダニの仲間は、この樟脳のにおいを苦手としているため、たいていは近づいてきません。クスノキには天然由来のすぐれた防虫効果が備わっているのです。虫害や腐敗に強いことから、タンスなどの家具や社寺の建築や仏像など永く使われるものに広く利用されています。

クスノキは長生きの木
全国最大級の巨木10傑のうち6本がクスノキだそうです。中でも日本で一番大きな樹木は、鹿児島県蒲生町 八幡神社のクスノキで、幹周は約24メートル、高さ約30メートルもあります。その樹齢は約1,500年と推定されています。神社林にあるクスノキにも多くの大木が見られ、ご神木として人々の信仰の対象とされるものもあります。太く永く育ち続けるクスノキは、まさに寿樹と言えます。
全国最大級の巨木(上位10傑) H13.3現在
リンクhttps://www.biodic.go.jp/kiso/13/13_kyoju.html#mainText
天然樟脳について

天然樟脳(てんねんしょうのう)とは
天然由来の香りで大切な衣類を守る、体と心にやさしい日本伝統の防虫剤です。「天然樟脳は先人の知恵」―昔から人々の暮らしに欠かせないものでした。
その昔、樟脳はセルロイド(合成樹脂)やフィルムの原料でもあったため、輸出の需要が非常に高く、塩やタバコと同じく専売品として扱われていました。それだけ希少価値が高く利益が確保できる重要な産物だったわけです。
しかしながら、昭和ひと桁代にドイツでプラスチックが出来たため、天然樟脳は次第に忘れられていきました。現在、国内の樟脳製造業者は4軒を残すのみとなっています。
素材にも人にもやさしい天然成分
国産の天然樟脳「日向しょうのう」は、宮崎県産の天然木・クスノキ(樟)を水蒸気蒸留して抽出しているので化学物質をまったく含んでいません。天然成分100%の快適さと安全性、高い効果が魅力です。綿やウールはもちろん、シルクやカシミア、毛皮など大切に保管したい高級素材には特におすすめ。また着物や雛人形などの銀糸にも影響がないので安心してご使用いただけます。
お肌の弱い方や化学合成物質や添加物にアレルギーのある方にとっても安心いただけるやさしい使い心地です。近年、自然志向のライフスタイルの見直しもあり、そのニーズはますます高まってきています。
自然の香りに癒やされて
天然樟脳は、メントールのようなスースーする清涼感かつウッディな香りです。この香りを虫が嫌って避けるので古くから防虫剤として使われてきました。ナフタリンなどの化学薬品や合成樟脳に比べ臭いが残らないのも特徴です。合成品や化学薬品を一切使っていない天然成分の香りなので空気にさらすだけで早めに消えて、不快感もありません。そのため、衣替えから出した衣類もすぐに着ることが出来ます。また、香りが強いクスノキは「防虫の木」として古くから家具や仏像にも使われてきました。芳香・防臭にも優れているので、靴箱やトイレな臭いの気になる場所でのご使用もおすすめです。
天然樟脳の抽出方法
クスノキから抽出されるのは、
天然樟脳
樟脳油
芳香蒸留水(ハーバルウォーター)
この3種です。
クスノキから生まれる白い結晶や精油そして蒸留水は、自然の不思議。
それらは、水蒸気蒸留法で抽出されます。その不思議のしくみをご紹介しましょう。
水蒸気蒸留法とは

原料となる植物を蒸留釜に入れて、そこに水蒸気を送り込みます。すると植物中にある精油成分が遊離、気化し、水蒸気と一緒に上昇します。(※クスノキの場合は、精油の中に樟脳成分も含まれています。)
この精油成分が混入した水蒸気を冷却層で冷却すると液体に戻ります。精油は水には溶けない性質を持つため、水とエッセンシャルオイル(精油)の2層に分かれて溜まります。ここから水と分離して取り出すことにより、100%純粋の精油(エッセンシャルオイル)を得ることができます。
分離された水には、水溶性の芳香成分と微量の精油が残っており、芳香蒸留水(ハーバルウォーター)として利用されます。
クスノキを細かく砕いてチップ状に

まずパルプチップをつくる機械で細かく砕いてチップ状にします。樟脳成分は、幹はもちろん、葉や枝、根にも含まれていますので、これらも余すことなく用いて生産しています。
チップ状にしたクスノキを蒸留窯へ

チップはフォークリフトで持ち上げて蒸留窯のある工場2階に運びます。

クレーンで運ばれたチップ。

運ばれたチップを蒸留窯へ入れるためかき集めます。

一度に使用するチップの量は約1トン。人の手でひたすら入れていきます。

これを隙間なく詰めるために専用の付き棒を使って固めていきます。


最後は人の足でしっかり踏み固めます。

蒸気が漏れないように蓋をして密閉します。

窯にはボイラーから高温の水蒸気が送られて、クスノキのチップが蒸されていきます。

成分は水蒸気とともに冷却水槽へ
熱せられたクスノキのチップは、精油成分が遊離・気化し、水蒸気と一緒に上昇します。精油成分(樟脳成分も含む)が混入した水蒸気は、パイプを通って冷却水槽へと流れていきます。水蒸気は、時間を掛けて冷却されて液体に戻りますが、このとき「水」と「精油」の2層に分かれて溜まります。

天然樟脳は精油の層に含まれています。
前の工程で分かれた「水」と「精油」。この「精油」の層から「天然樟脳」、「樟脳油」、「芳香蒸留水(ハーバルウォーター)」それぞれを分離させて取り出します。
天然樟脳はさらにひと手間




天然樟脳は結晶化したものを取り出して、遠心分離機で24時間かけて脱水・脱油しています。時間と手間をかけてじっくりと乾燥させることで、純度の高い真っ白な樟脳結晶が出来上がります。
「えこのは」のエコなしくみ
水蒸気ボイラーの熱源は、製材時に出る大量の木端を利用しています。またボイラーの灰は、近所の小学校の畑の肥料などに。樟脳を採り終えたチップは、パルプ工場へ納めて紙の原料となっていきます。どこまでも有効活用をしていきたい、素材を有効に活用することを大切に考え日々取り組んでいます。地球にも環境にもやさしいしくありたいです。
日向しょうのうは、The Wonder 500TM に認定されました
日向のかおり「日向しょうのう」は、日本が誇るべきすぐれた地方産品を 発掘し、世界に広く伝えていくプロジェクト「The Wonder 500TM」 (経済産業省補助事業)に認定されました。
The Wonder 500TM
website : https://thewonder500.com/
